【大橋彩香のドイツ留学レポート】vol.4

 

ワールドカップもいよいよ終盤にさしかかってきましたね。

日本もドイツも残念でしたがとても良い試合で、研究室のメンバーと一緒に観戦して盛り上がっていました。

今回はここ数か月間悩まされてきた研究に関する問題がようやく解決へと向かい始めたので、

そのことについてお話させていただこうと思います。

 

現在、私は「腫瘍および血管内皮細胞から放出されるRNase inhibitor (RI)の制御およびRIの細胞外活性」についての研究を行って

おります。これは以前発表した「血管恒常性に関与するRNase、RIの血球および血管内皮細胞における発現と局在」の論文内容を

発展させたものであり、RIに焦点をおいたものです。

 

RIは様々な腫瘍および血管系細胞によって産生、分泌されているRNasesと結合することでRNAの分解や酸化ストレスから細胞を

保護しており、今は酸化ストレス下におかれた細胞のRIの発現をみています。

細胞を酸化ストレスにさらすために低酸素培養機を使用しているのですが、この培養機に振り回されてきました。

 

使用し始めた当初から培養機のディスプレイが点滅して入力した文字が見にくかったり、電源が入らない時があったりなどと

不安要素がありました。そのため使用する際は低酸素状態が作られていることを確認するためインディケーターを使用したり、

低酸素状態によって発現が影響を受ける血管内皮細胞増殖因子 (VEGF) のmRNA発現も同時に調べました。

 

インディケーターは酸素濃度が一定以下になると色が変わるシンプルなものではありますが、変化が見えましたし、

VEGFのmRNA発現にも影響を見ることができたので、培養機は求める低酸素状態を作れていると判断して実験を進めていきました。

しかし、ウエスタンブロッティングでタンパク質発現を調べた際に、VEGFの発現に影響が見られなかったことから

培養機への疑念「求める低酸素状態を作れていないのではないか?」が浮かび上がってきました。

 

しかしmRNA発現には影響が見られていたため、まずはウエスタンブロッティングの手技や使用している試薬の状態に問題がある

可能性を考慮して試行錯誤したのですが、状況は一向に改善せず、指導教官との度重なる話し合いの結果、

「培養機はある程度酸素濃度を下げることには成功してはいるものの、求める環境を作ることはできていない」との結論に至り、

他の培養機を使用して一からサンプルを作成し直すことになりました。

 

この結論に達するまで長い時間がかかりましたが、新しい培養機で作成したサンプルではVEGFのmRNA発現の影響が

以前よりも顕著にでたので、これから行うタンパク質発現の結果にも期待が持てます。

 

結果的に同じ実験を繰り返すことになり、時間も試薬も余分に使うことになってしまいましたが、これまで培ってきた手技などは役立つためスムーズに実験を進めることができるとポジティブに考えてやっていこうと思います。

研究活動は思うように進まないことも多々ありますが、そういった困難も含めて楽しんで研究を行っています。

 

ラボの長であるProf. Klaus T. Preissner (写真中央(私)の右隣のサングラスをかけている男性)、直接指導していただいているDr. Silvia Fischer(Prof. Preissnerの右後ろの金髪の女性)はじめラボのメンバーにはいつも沢山のアドバイスをいただいて研究を進めることができています。

温かい環境で支えていただけることに感謝の気持ちを持ってこれからも頑張っていこうと思います。

 


【大橋彩香のドイツ留学レポート】vol.3

 

 今回は昨年2月と3月に友人と観光で訪れた世界遺産ケルン大聖堂のある街、ケルンについて紹介させていただきます。

 ケルンはドイツ西部に位置する大都市であり、フランクフルトからICEもしくはICという特急で1時間半ほどで行くことができます。

 

最初にケルンを訪れたのは、毎年2月に行われるカーニバルを見に行くためでした。ケルンのカーニバルはデュッセルドルフ、マインツと共にドイツ三大カーニバルに数えられています。

 

町は様々な仮装をした人々で賑わっており、日本でもおなじみのピカチュウやマリオなどの姿も見られました。

この時期、カーニバルの混雑のためか大聖堂の拝観および塔への入場は中止されており、聖堂内の見学をすることができませんでした。

 

そこで翌月、大聖堂内を見学するため再びケルンの地へと足を運びました。

写真中央に見えるのがライン川です。この川を中心として市街地が広がっています。

左手奥に見える2つの塔のある建物がケルン大聖堂で、観光の拠点として

多くの観光客で賑わっています。

 

周辺には土産物屋をはじめ、ルイヴィトンなどのブランドショップ、また元祖オーデコロンとして有名な4711(ケルンの水)などお洒落な店が並んでいます。

 

ケルン大聖堂はケルン中央駅のすぐ目の前にあります。そこからライン川を渡ったところには街を見渡せる展望台があり、写真のような風景を楽しむことができます。

ゴシック様式のケルン大聖堂は塔の高さが157メートル以上もある巨大な建築物で、間近から大聖堂を見上げるとその壮大さに圧倒されます。

 

また、その大きさゆえに近くからでは全体を写真におさめることは困難でした。大聖堂内部の拝観は基本無料で、美しいステンドガラスに照らされた荘厳な雰囲気を味わうことができます。

 

塔への入場は有料で、狭く長い階段をひたすら上る必要があります。

これが非常に大変で途中に休憩できる場所もほぼないため、

みんなくたくたになりながら上っていました。

運動靴、軽装で行くことをお勧めします。また、飲み物は必須です。

 

頑張って上りきった先には美しいライン川とケルンの街並みを一望することができるので、ぜひ一度は挑戦してみてください。


【大橋彩香のドイツ留学レポート】vol.2

 

3月のドイツはまだ厳しい寒さが続いていますが、少しずつ日が延びてきました。みなさんはいかがお過ごしでしょうか?

 

私は2月20-23日にオーストリアのウィーンで開催された62nd Annual Meeting of the Society of Thrombosis and Haemostasis Research

(以下GTH)という国際学会に参加しました。

 

ウィーンは私が住んでいるドイツ・ギーセンから車でアウトバーン

(日本の高速道路のようなもので速度無制限区間があることで知られています)を南へ9時間ほど行ったところにあります。

 

 上の写真はGTHの会場であるMESSE WIENです。ここでは世界各地から集まった血液分野の研究者達が4日間にわたり口演、

 ポスター発表、討論を行い日々の研究成果を発表しました。

 私は腫瘍および血管内皮細胞から放出されるRNase inhibitor (RI)の制御およびRIの細胞外活性についての研究結果を発表しました。

 

 RIは様々な腫瘍および血管系細胞によって産生、分泌されているRNasesと結合することでRNAの分解や酸化ストレスから

 細胞を保護しています。これまでの研究から細胞外RIは腫瘍および血管細胞からのストレス条件下で顕著に放出され、

 RNasesとの相互作用によって血管恒常性に影響を及ぼし得ると考えています。

 今回の学会では多くの研究者の方々とお話をすることができ、大変勉強になる貴重な経験をさせていただきました。

音楽の都として有名なウィーンには街の至る所に音楽家達の足跡、また彼らを保護し支えた王家の歴史が残っています。

 

左の写真はウィーンで最も人気のある観光スポット、シェーンブルン宮殿です。この宮殿はわずか6歳のモーツァルトが皇帝の前で演奏し称賛されたことでも有名であり、オーストリア・ハンガリー帝国の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の皇后、エリーザベト皇后も暮らしていました。

 

彼女はシシイの愛称でオーストリア国民に愛されており、お土産には彼女を扱ったものが多数取り揃えられ、その人気のほどがうかがえます。

 

学会の合間の限られた時間でしたが、ウィーンの街を観光した中で私が最も印象に残っているのが左のオーストリア国立図書館です。

 

観光地として上記のシェーンブルン宮殿ほど有名な場所ではありませんが、まるで映画の世界に入り込んだかのような幻想的な空間に思わず息を呑んでしまいます。

壁を覆う無数の本が作り出す重厚な世界は本好きの私にはたまらない場所でした。

 

 ウィーンは歴史溢れるとても素敵な街ですが、この時期は雪に覆われた氷点下の世界。十分な防寒対策でお出かけください。


【大橋彩香のドイツ留学レポート】vol.1

先端血液検査学分野 博士課程所属の大橋彩香です。

私は2016年12月から2年間の予定でドイツ、ヘッセン州のギーセンにあるJustus-Liebig Universität (JLU)に留学しています。

JLUは1607年に設立され、医学部、獣医学部をはじめ、数学、法学部など11の学部に約28000人の学生が所属しています。

日本人はあまりいませんが、120以上の国からの留学生や研究者を受け入れています。

 左の写真は私が所属している生化学教室がある建物です。

この建物のすぐ裏に大学病院があり、臨床とも直結した最先端の研究が行われています。豊富な研究設備と優秀な研究者の方々のアドバイスを受けながら、充実した研究生活を送っております。

 

ギーセンは大学都市として発展した町で、町のあちらこちらに大学の関連施設があります。そのため学生を始め大学関係者が人口8万人の内、

約半数を占めています。

また、多くの著名な科学者の縁の地とも知られ、JLUで教鞭をとっていたX線の発見者のレントゲンの墓地もギーセンにあります。

 

フランクフルトから電車で1時間のギーセン駅前には数学博物館があり、子供から大人まで数学を楽しめるように工夫された実体験型の博物館です。

身近なものがいかに数学的にできているのかなど、気軽に楽しく数学に接することができます。土曜日、日曜日と休みのお店が多いドイツですが、この博物館は休日も営業しているので観光に最適です。

 

 

町の中心部であるBerliner Platzでは毎年11月から12月にかけてクリスマスマーケットが開催されます。特設のステージやスケートリンク、様々な屋台など多くの人で賑わいます。寒い夜空の元で飲むグリューワインは心身ともに温めてくれるドイツの冬を代表する飲み物です。

 

魅力溢れるドイツでの生活を今後も報告させていただきます。

よろしくお願いいたします。